買ってはいけない金融商品
今回はブルベアファンドを取り上げます。最近はあまり雑誌や新聞でのP
Rを目にしないので、あまり証券会社の営業に力が入っていないかもしれ
ませんが、要注意商品である事は間違いありません。
ブルベアファンドと呼ばれているのは、投資信託の一種類で、主にRR分
類で5に分類されています。
この商品は、ブル型の場合は、日経平均やTOPIXなどのインデックス
の2倍の動きをする様に運用されています。逆にベア型はインデックスが
下がったら基準価格が上昇するといった様にインデックスと反対の動きを
するものです。
この場合、インデックスの何倍の動きをするか、また反対に何倍の動きを
するかは、投資信託の設定時に決められます。
投資信託の受益証券説明書または目論見書を良くチェックしてみてくださ
い。なぜこの様な動きを持つ投資信託が設定できるかと言いますと、デリ
ィバティブを積極的に利用しています。具体的には、ブル型の場合は、日
経平均先物の買い等をレバレッジ効果2倍になる様に組み入れます。
ベア型の場合には売り建のポジションを取ります。
ディバティブが組み入れられた場合には投資信託のRR分類は一番ハイリ
スク、ハイリターンの5となりますが、この様なブルベアファンドが代表
的なものだと言えるでしょう。
さてこの様なブルベアファンドは、長期投資は損失が出てしまう可能性が 高いと思います。それは、商品特性から相場が上がったり下がったりして 最初と同じ水準に日経平均が戻ってきた場合には、なんとブルベアファン ドのパフォーマンスはマイナスになってしまう事に原因があります。
簡単に2倍のブル型の場合のシミュレーションを行ってみます。
まず今日の日経平均を仮に10000円とします。今日2倍のブル型のフ
ァンドが設定されたとすると、今日は基準額がやはり10000円です。
次に日に大きく相場が値上がりして、日経平均は10%値上がりだったと
します。
そうしますと基準価額は、20%上昇しますから、12000になります。
ところがその翌日にまた日経平均は10000円に戻ってしまった場合を
考えてみます。下落率は10000/11000で約9.09%になりま
す。したがって基準価格は18.18%下落する様な設計になている訳で
すから12000×0.8182=9818となり、最初の基準価格より
目減りしていしまっています。
逆に最初に下落した時も同様です。先ほどと同様のシミュレーションを
行えば、日経平均の10%の下落で基準価格は8000円になります。
また元に戻ってきた場合には日経平均は11.1%の上昇になります。
従って8000×1.222=9776となり、この場合にはさらに目減
りの量が増えてしまいます。
株式相場は、ご承知の通り一方的に上昇、下落をするものではありません。 いくら上昇が続いている場合でも途中に何回も調整が入りますし、下落す る場合でも途中戻す局面が何回かある物です。したがって上記の様な目減 りは本質的にいつの時点でも起こっていると考えるべきでしょう。
ブル型とベア型の2つのタイプが同時に設定されている場合が多いと思 いますが、この様な2つの基準価額を足した物は、絶対に元の基準価額の 合計より減っていると思います。これは本質的に目減りする投資信託であ るという何よりの証拠ですね。
従って、自分の資産を長期的な観点で増やしていく目的では、ブルベアフ ァンドは買ってはいけない商品です。
この様な商品は、短期の投機的な目的や、短期的なリスクへッジに充てる べきだと思います。特に資産運用初心者の方は手をだすべきではありませ ん。